コペンハーゲンから夜行でストックホルムへ渡り、次の夕方にはフィンランドの首都・ヘルシンキへ向かう。ヘルシンキへは鉄道は通っておらず、フェリーを使うこととなる。ストックホルム・ヘルシンキ間には、「シリヤライン」「バイキングライン」という二つの会社が便を運行している。どちらも、豪華客船を思わせる巨大な船だが、鉄道の代わりに普通に交通手段として利用されていることもあって、料金は思いの外安い。港に面したプラットフォームのビルから、渡り廊下で船に入っていく。

船内に入り、その大きさに驚かされる。船内は地下(水面下?)まで含め13層に分かれ、中心には一つの街ともいうべきレストラン・ショッピングセンター区域があり、上層部にはサウナやプールもある。サウナの窓から海を眺めるのもおつなものだ。

甲板に立つと、夕日の中、潮風を受けて、人々がビールなど飲みながら出航の時を待っている。船は、汽笛を上げて、大海原へ乗り出していく。バルト海に沈んでいく太陽がことのほか美しい。

朝起きると、ヘルシンキの街並みが近づいているのが見える。いよいよ4つ目の国、フィンランドへの到着だ。フィンランドは森と湖の国と呼ばれ、自然の美しい北欧の中でも特に優れた景観を誇る。それを十分に味わうため、早速ヘルシンキを離れ、湖沼地域へと向かう。

ヘルシンキから電車で1時間あまりで、ハメーンリンナ(Hameenlinna)の街に着く。「リンナ」とは城の意で、ハミという部族の城があったところらしい。現在でも、中世のそのままの姿を残すハメ城が聳え立っている。石畳と城壁に囲まれ、バロックやロココの宮殿とは対照的な、いかにも実戦向けの城だ。ハメーンリンナは一地方都市といった風情の小さな街だが、ちゃんと中華レストランなどあるところが面白く、なかなかに質の良く安い昼食を楽しむことができた。世界中で中華レストランを見るにつけ、中国人の適応力には舌を巻く。ハメーンリンナの駅前からさらにバスで、アウランコ(Aulanko)という場所に向かう。そこに、宿泊先であるあうランコホテルがある。アウランコは、この地域では随一の高級リゾートホテルだが、夏季(前にも書いたが、北欧ではローシーズンである)で、改修中ということもあって、かなり安く泊まれた。部屋は広々としており、窓の外にはすぐ木々が見える。このホテルは、まさに湖と森から成る公園の真っ只中にあるのだ。ホテルのすぐ近くから、森林公園の散策路が伸びており、それに従って広大な公園の探索を楽しむことができるようになっている。素晴らしいのは、ただの森ではなく、所々に古い遺跡のようなものが残っていることだ。まず森の入り口に、砦のように見張り塔が聳え立っている。ここをくぐっていくだけでも、中世の森の中でのアドベンチャーが始まるという雰囲気だ。そして、地図を片手に、枝分かれした森の中の小道を、所々で迷いつつ歩いていく。森の奥深くには、地図に記された、古い塔があるらしい。実際には、車道も通っており標識もあるので、行き着くのはそれほど難しくないのだが、冒険気分を味わうには最高の場所だ。塔に着いても、財宝が待っているわけではないが、それにも匹敵する、素晴らしい眺望を楽しむことができる。どこまでも続く針葉樹の森と透き通った湖、まさに、フィンランドの正式名称である「スオミ」、すなわち「森と湖の国」の実感だ。

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