アイルランドは「妖精の島」と呼ばれるが、この島に色濃く残るのがケルト文化である。トリニティ・カレッジの「ケルズの書」は、ケルト文化の一側面である装飾本芸術の精髄であるが、これと並びケルト文化を代表するものとして、ケルト十字等、石の営造物がある。ダブリンの近郊にもいくつかの有名な史跡が固まっているが、その一つであるグレンダー・ロッホ(Glenda Lough)は、保存状態の良い遺跡と自然の美しさを同時に味わうことのできる場所として有名だ。地名の「ロッホ」とは湖を意味するが、その名のとおり、大小二つの湖が緑の中によく映えている。

アイルランドにおける初期キリスト教の教会の史跡であるが、石造りの円塔や、十字架の中心を円が取り囲むケルト十字が、ケルト文化と初期キリスト教の融合を物語っている。

ダブリンから一路西へ、ゴールウェイへと向かう。アイルランドは小さな島で、東岸のダブリンから西岸のゴールウェイまで鉄道で3時間程度で着いてしまう。ゴールウェイの沖合いに浮かぶのが、「嵐の島」として名高いアラン諸島だ。その名の通り、冬は風が吹き荒れるが、夏の間は頻繁に連絡船も通っている。とはいえ、波は高く、時間は短いがかなりハードな航海だ。島に着くと、まず自転車を借りる。島内には乗合タクシーは通っているが、基本的な移動手段は自転車だ。小さな島で道も少なく、舗装された道に沿って走っていればまず迷うことはないが、近道をしようとして農地の中へ入ってくと、たちまちに迷ってしまった。折から、霧も濃くなり、見渡せど同じような石垣と荒涼とした野原が続く。石がごろごろとした起伏の激しい農道をマウンテンバイクで駆け下り、振動で腕がしびれてしまいそうになったが、迷ったおかげでいかにもアラン諸島らしいさびしく神秘的な風景を楽しむことができた。

ゴールウェイの近く、コネマラ国立公園のツアー中に立ち寄った、湖のほとりの修道院

続く